秋の雷(あきのらい)

昨夜、何をするでもなくダラダラとしていたら12時を回ってしまい慌てて入浴した時、雷が鳴るのを聞いた。雨風はずっと吹きさぶっていたので『雷かぁ』と思いつつ布団に入った。いつの間にか寝付いていたのだが寝たら最後何があっても起きないを豪語する私をして目覚めさせた凄まじい雷鳴。一瞬、素で『お蘭を玄関に入れてやらねばなぁ』などと考える自分がいた。お蘭は雷も花火の轟音にも殆ど動じないコだった。
音に対してシャイになっては、とせっせと駅前までの散歩コースを歩いたせいかなぁ、持って生まれた性格だったのかなぁなどと考える。
電車が目の前を轟音と共に通過する踏切を前にして私と並んでちゃんとお座りをしてやり過ごすその姿は自慢だった。線路を跨ぐ歩道橋から下を走る電車を不思議そうに眺める姿は可愛かった。まだ足腰がしっかりしていた時はすぐ近くを通る高速の高架橋の手すりに寄りかかり眼下を高速で走り抜ける車を飽かず眺めたものだった。
未明の雷もハウスの中で溜息と共にやりすごしたであろうか。でもそんな時、私が玄関においでと迎えに行けばいつだっていそいそと走り込んできたのだから少しは心細かったのかもしれない。


季節の変わり目の雷。この時期の雷は秋の雷(あきのらい)とも呼ぶのだそうだ。日本語はなんと美しいのだろう。