もってこい

こうしてPCに向かってダラダラとネットをしていると時々お蘭が『かあちゃん、構って♪』と寄ってきたものだ。十畳相当の居間のお蘭の定位置だったり、その時の気分の場所だったりするのだけど、大概は寝ている。時々玄関に置いてあるバケツまで水飲みに、おもむろにどっこいしょと起きて遠征し、戻ってくると必ず椅子に座る私の傍らにへっへっへ♪と寄ってきて『かまってちょん♪』と顔を突き出してくるので「よしよし♪」と頭を撫でたり叩いたり。。。そうするとお蘭も気が済むのか先程まで横になっていた場所に戻るのだけど、たまにしたり顔で私の横で180度回転しお尻をこちらに向けて椅子に寄り添うように足元にペタッと伏せするんである。こんな時はちょっと他人様には見せられない座り方をし、お蘭の背中やお尻や脇腹を踏み踏みしながらネットをしたのだった。踏み踏みされているお蘭は『いや〜ん』と悶えたり、ただドテッと踏まれるままになっていたり、それは彼女の気分次第だった(笑)たまに破壊中のおもちゃ(ここ数年、小さな縫いぐるみは壊して良いおもちゃとお蘭の中で定義されていた)がある時はくわえて持ってきて『かあちゃん、遊べ♪』と脇からヨダレまみれの縫いぐるみをくわえた顔を突っ込んでくるのだ。ひっぱりっこをしたり、部屋の対角線の角に投げて持ってこいさせたりしてよく遊んだものだけど、一通り遊んだ後の「じゃ、お終い。」と終了宣告する時のお蘭の様子がとても好きだった。まさに『ガーン』て感じにくわえて戻ってくる途中で、パタリと立ち止まりくわえていたおもちゃをポトリ、と床に落とすんである。意地が悪いと思いつつコレ見たさにわざと遊びを終結する宣言をよくしたものだった。あれ、ホントにガーンという表情になっておもちゃ落とすんだよねぇ。面白かったなぁ。

足腰が駄目になって走れなくなる前、外で遊ぶ時にお蘭が一番好きだったのはこの「もってこい」だった。色んなおもちゃを持って蘭歩に行き、散々遊んだものだ。木の枝でもボールでもなんでも持来してきたけど、一番のお気に入りはデンタルコングだったね。その形状故投げるとどこに飛ぶかわからない弾み方がお蘭のツボだったらしい。私の脇に「つけ」で一応並んで座って待つ。腰はもうソワソワしてて待ちきれず浮き上がり加減で私が手に持つおもちゃをひたっと見つめて全身から『まだ?まだ?早く投げて♪』オーラが立ち上っていたっけ。時々フェイントで投げたフリをするとダッシュして…弾む音がしない事に気付き私を振り返りもおもちゃが手にある事を確認すると『きゃ〜ん、かあちゃんのいけずっ』て顔して慌てて戻ってきて横に座る。ふふふ、可愛かったね。くわえて持って帰ってきたら私の正面でじらそうかなという顔をして見上げてくるけど手を出して「おふ」というと『ちぇ〜』という様子でくわえてきたおもちゃをポトリと落とす。そうだよ、手渡してくれなきゃ投げてやらないよ。本当はもっと横にビシッとお座りして欲しかったんだけど、ランディだもんねぇ、それは高望みというものでしょう。
あの頃一緒に遊んだワン達も皆もってこい遊びは好きだったけど、ちゃんと人の下に取ってきたおもちゃをコマンドで手渡してくれるのはお蘭だけだったねぇ。他のワン達は皆飼い主さんが無理矢理取り上げていたりおっかけまわしたりして取り上げたりでてんやわんやの大騒ぎだったけど、だからちゃんと手渡してくれるお蘭はとても自慢だったな。